手術室・手術器具
名古屋動物医療センターは安心・安全に手術を行うための手術設備・手術器械が多数導入されております。我々は手術で求められる最高の道具を選択する義務があります。
「道具を選ばない手術の技術」も必要かもしれません。
しかしながら、「最良の道具を選択して成功率を1%でも高くする」方がさらに重要と考えています。
したがって、「道具がないから手術が上手くいかなかった……」これは医療では許されない言い訳となります。
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手術室 3室(陽圧換気 手術用クリーンルーム:2室、一般手術室1室)
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名古屋動物医療センターには陽圧換気の手術用クリーンルームが2室と一般手術室が1室あります。
人の手術室と同等に陽圧換気のクリーンルーム手術室で手術します。クリーンルームとは、空気中の塵やごみ、細菌を取り除く空調設備を備えた部屋のことで、天井からフィルターを通した清潔な空気が出て、手術室の床の四隅にある排気ダクトから排気されます。室内の凹凸を少なくするため、棚やモニターなどは全て壁中に埋め込まれて配置しています。
整形外科手術や脳神経手術の場合には、菌がいない部分を手術するため、手術中に空気中から落下してくる菌によって感染を引き起こす可能性があります。非常に清潔な環境で手術することで術中感染を極力抑えることが可能となります。また、手術室に入室する人員を必要最低限にし、手術を行う獣医師やスタッフは、ディスポーザブルの手術用の術衣を着用して感染予防を行っています。手術は最良の環境下において行います。
手術用LED無影灯・手術撮影用ビデオシステム・手術天井吊りモニター
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手術用LED無影灯を用いて手術します。医療用LED は太陽光に近いスペクトルを持ち合わせ、モノ本来の色や質を照らし出すことができます。
無影灯の中心には手術撮影用ビデオカメラが設置されており、手術術野の撮影を行うことで、手術スタッフと手術状況の共有が可能となり、録画すると同時に別室に配信が出来るシステムが構築されています。また、手術天井吊りモニターにより、C-armレントゲン透視装置や関節鏡のモニターを術者の直近で確認しながら手術することで正確な手術が可能とまります。
C-arm 術中レントゲン透視装置
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C-arm 術中レントゲン透視装置は手術室内で移動式のX線装置を使用して手術中に直接目視できない部分をX線画像でリアルタイムに見られる装置です。
金属のインプラントを骨内に挿入する際や骨折を整復する場合に、装置を回転させて位置や角度、深さを様々な方向から観察することが可能です。
当院では安全・確実で、可能な限り侵襲(傷)の小さい手術を行う目的で使用しています。
関節鏡システム
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関節鏡とは、関節に2~3箇所の小さな穴を開け、関節内に還流液を満たし、関節に光ファイバーと小さな高性能カメラで構成された内視鏡を挿入します。
関節鏡を使用することで、関節内部の細部の観察や、関節の裏側の画像をモニターに映し出し、半月板損傷、前十字靭帯断裂、後十字靭帯断裂、関節軟骨の磨耗の状態などの関節内部の状態や病態を詳細に観察し、低侵襲で正確・安全な手術が可能です。当院では主に1.9mmと2.3mmの30°斜視鏡とShaverを用いています。
整形外科・脳神経外科ドリルシステム―Stryker TPS, CORE
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整形外科や神経外科では骨を切ったり削ったり、ドリルで穴を開けたり、ピンを挿入したりします。したがって、整形外科器具の中で非常に重要な器具で、最も慣れ親しむ必要のある手術道具です。我々はStrykerのUniversal DriverをCommand 2、TPS、COREと30年以上使用しています。
当院では毎日数件の手術に使用するため複数台を滅菌して使用しています。
Stryker(TPSコンソール、Coreコンソール)各1台
Stryker TPS, CORE Universal Driver 3台、
Stryker TPS, CORE 高速ドリルハンドピース5台、
Stryker TPS, CORE サジタル骨鋸ハンドピース2台。
整形外科ドリルシステム―Synthes Colibri, Colibri II
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TPLO手術あるいは大型犬の手術ではSynthesのUniversal battery power tool (ColibriおよびColibri II)を使用します。
コードがないので取り扱いは楽ですが、小型犬や猫の手術では重く・大きいため繊細な手術には不向きです。
脳神経手術用顕微鏡(ZEISS Pentero)
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手術用顕微鏡は、細やかな神経や血管などを処置する際に、手術しやすいよう患部を拡大して立体的に見るための手術機器です。
組織や血管の微細な構造を高精細かつ立体的に観察できるため、緻密な手術に適しています。
近年の脳神経外科手術の画期的な進歩としては、手術用顕微鏡の導入によるマイクロサージェリー(microsurgery)で、脳神経外科手術の安全性と有効性は手術用顕微鏡を用いることによって飛躍的に向上しました。
当院では脳神経外科手術用顕微鏡で最高峰のZEISS製 Penteroを用いて脳神経外科手術を行います。
超音波手術システム SonoSurg
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超音波を利用した手術装置には、血管等の組織を剪んで凝固切開する超音波凝固切開装置と、超音波振動により組織を破砕・乳化し吸引する超音波吸引装置があります。
SonoSurgは超音波凝固切開と超音波吸引の機能を統合した手術システムです。
超音波凝固切開装置により小血管では縫合糸を使用せずに結紮可能となり、超音波吸引装置を用いて脳腫瘍摘出手術や肝臓手術を行います。
AO/ASIF systemを主体とした 各種の整形外科器具・インプラント
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整形外科手術で求められる最高の道具を選択するために各種器具やインプラントがあります。
手術には「知識・技術・経験・情熱」の全てが必要ですが、「より良い手術、さらに確実な手術、より安全な手術」を実現するためには洗練された器具・道具が必須です。また、「道具が手の一部となる」までに身体に覚えさせるには、非常に時間がかかるので十分な覚悟が必要となります。
創外固定装置(リニア型、Ilizarov装置)
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創外固定とは骨にネジを数本挿入し、骨折部での骨変位をできるだけ矯正し、支えとなる金属製の支柱(創外固定器)で骨折を固定する手術方法です。
創外固定手術は近年、その器具、適応、手技が飛躍的に進歩しています。
当院は、従来の方法では治療が困難であった粉砕骨折、開放骨折、挫傷などの外傷治療に積極的に使用すると共に、Ilizarov装置(リング状の固定器)を用いた仮骨延長法や変形矯正法も行っています。
サージカルルーペ―Keeler
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外科手術用ルーペは、術野に顔を近づけなくても細かな構造を拡大して良好に見ることで正確な手術が可能となります。
手術用顕微鏡ほどの高倍率(10〜20倍)は望めませんが、ルーペは簡便で機動性に優れているため、脊椎外科や関節外科などの手術に用います。
イギリスのKeeler(キーラー)製のガリレオ式とケプラー式のルーペを使用しています。